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諸岡 聡; 川崎 卓郎; Harjo, S.; 山下 享介*; 小山 元道*; 澤口 孝宏*; 芳賀 芳範
no journal, ,
第3世代先進高張力鋼とされるQ&P鋼や5mass%前後のMnを添加した中Mn鋼等は、フェライト,マルテンサイト、及びオーステナイトを利用している。この三相の微視組織では、オーステナイトの存在により、鋼は塑性変形をさらに拡大することができ、オーステナイト自体が塑性変形すると、マルテンサイトに変態し、鋼の全体的な強度が向上する。特に、Millerにより提起された中Mn鋼は、2相域焼鈍し、その温度に保持することで、高温域におけるオーステナイト中にC, Mnを濃化させ、30vol.%以上の多量のオーステナイトを残存させることを可能とした。その結果として、第3世代先進高張力鋼の目標に合致する優れた強度-延性バランスを発揮することができる。これまで、Koyamaらは、5Mn-0.1C鋼において、室温における機械特性と詳細な微視組織観察の結果から変形機構の解明を進めている。一方で、Yamashitaらは、低温における機械特性を評価し、室温(298K)と比較して、降伏強度が非常に高くなることを報告しているが、その原因については言及していない。そこで、本研究では、中性子回折法による低温環境下その場測定を用いて、5Mn-0.1C鋼の低温挙動を観測し、低温環境における特異な力学特性の解明を進めることを目的とする。